【グローバルマネーウィーク実施報告】渋谷教育学園中学高等学校で対話形式の公開特別授業を実施

2025年3月27日、渋谷教育学園渋谷中学高等学校の中学1年生から高校2年生までの22名を対象として、生徒たちの質問をテーマとした対話形式の特別公開授業が開催されました。

この授業は、金融庁・日本銀行・J-FLECが参加するOECD主催の「グローバルマネーウィーク」に賛同し、国際的な金融教育の啓発活動の一環として当機構主催で実施されたものです。

当日は、25万部を超えるベストセラー『きみのお金は誰のため』の著者であり、社会的な金融教育家として知られる田内学氏を特別講師に迎え、当機構理事・仲木威雄と共に対話形式で授業を行いました。

前半:生徒たちによるプレゼンテーション

前半は、生徒たちによるプレゼンテーションから授業が開始。ペットボトルの回収でお金がもらえる仕組みから着想を得た、サステナブルな取り組みを経済価値に変えていくエコポイント制度についての発表がありました。

それに対し、田内氏からは、「個人の活動や企業の取り組みを経済価値に変換する仕組みは、環境問題の解消ではなく、経済価値を高めることが目的になってしまう可能性がある」との指摘があり、それを防止策として「ポイントの換金や譲渡を制限することで、経済的なインセンティブよりも、環境保全活動そのものへの参加を促す対応が必要ではないか」というアドバイスがありました。

一方、仲木からは、「個人としてはこうあってほしいという社会にするための環境保護活動をしていけばいいが、個人と企業、双方にメリットをもたらすプラットフォームを構築することで、社会全体が一体となって環境問題の解決に取り組むことが可能になる」とのアドバイスがありました。その例として、障がい者の方々の社会参加を促進すると共に、事業者側の負担を軽減するプラットフォームとして機能している「ミライロID」が紹介されました。

次に、「第3回高校生ecoアイデアコンテスト」でグランプリを受賞した、完全自作のボードゲーム『カンリンリ』についての発表がありました。生徒たちは、ゲームの内容や渋谷区内の小学校で出前授業を行った際の様子などを交えながら、今後ゲームを世間に広めて学びにつなげていくためのアドバイスを求める場面もありました。

仲木からは、「単にゲームをやって終わりではなく、その先の行動につなげる仕組み作りが環境問題に関心を持ち続けてもらうために大事。それを考えることでアプローチ方法も見えていくのでは」とのアドバイスがありました。

生徒たちからの積極的な意見や質問も多数あり、対話形式ならではの和やかな雰囲気の中で、授業は進んでいきました。

後半:生徒からの質問について質疑応答

授業後半では、生徒から寄せられた質問(環境・経済・金融の3つのカテゴリー)の中から、今回の講師だからこそ答えることができるものを中心に回答していきました。

「貧しい国を豊かにするにはどれほどのお金や人員が必要?」

環境について、「世界の富豪の資産を全額貧しい国に寄付したら、その国は新興国並みの豊かさになるか?貧しい国を豊かにするにはどれほどのお金や人員が必要か?」という質問が取り上げられました。

それに対して田内氏は、自身の事業で行っているアフリカ支援の実例を踏まえ、「国を豊かにするためにはお金を支援するだけでなく、その国が自走できるような支援の仕方が重要である」と説明しました。また、したい側が考える“支援”と、される側が求めている“支援”は異なるため、「お金よりも人員や仕組みづくりといった形での支援が必要である」という話がありました。

「円安・円高どちらがよいのかは、“発信者の意図”を考える必要がある」

経済については、「円高と円安それぞれのメリットデメリットとは?立場によるとは思うが、どちらがよいのか?」という質問が取り上げられました。

仲木からは、「立場によるとは思う」という感覚が非常に重要であり、「情報の発信者の意図を考える必要がある」という話がありました。

その後も、政治や経済・社会まで幅広い話題について質疑応答や意見交換が行われ、生徒たちからの回答を踏まえてさらに新たな質問も飛び交うなどの活発な場となりました。その場で質問に対するフィードバックを得られたことで、生徒たちの理解が深まり、問題に対する解像度も上がっていく様子が見受けられました。

感想の一部を抜粋

  • 「価値のあるものはたくさんあるのに、お金という可視化されたものだけを管理しようとする」という言葉に、はっとさせられた。
  • アフリカへの寄付について、単純に寄付するだけではいけないという話が興味深かった。お金の管理方法についての話も勉強になった。

子どもたちに「新しい視点」を提供する金融教育を

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