灘中学校との共創プログラムにおける金融探究学習を実施

2025年6月、灘中学校・社会科池田拓也先生と日本金融教育支援機構との共創による金融教育授業をおこないました。今回の共創授業は「FESコンテストへのチャレンジ」を主軸に同中学校1年生4クラス183名を対象に全3回実施されました。

共創プログラムの背景

池田先生は日頃より生徒と外部の大人との関わりを大切にされており、今回の授業をきっかけに生徒が金融について自分の頭で考える良い刺激になればよいという想いのもと、実施に至りました。

授業の様子

【第1回:お金の8つの力と講師の体験談】

最初の授業では当機構の德永智穂北村武史奥居剛史が登壇し、講師の体験をもとにしたインプットをおこないました。

「増やす」をテーマにした講師の体験談では、日経平均株価チャートを用いて株価変動のタイミングで自身に起きた出来事や、投資と投機の違いについて話しました。
「稼ぐ」「貯める」をテーマにした体験談では、銀行の役割や金利の話、お金の力で顧客の悩みを解決し地域社会や人との繋がりを実感したエピソードを紹介しました。
「備える」「贈る」をテーマにした体験談では、震災時の保険会社の対応と一般的な保険のイメージについて問いを投げかけ、また寄付により社会と繋がった経験を話しました。

池田先生からは「借りる」について良い借金と悪い借金、お金を借りない会社経営をどう思うか、またお金を借りるには信用が大切であることをお話いただきました。積極的に発言する生徒や静かにメモをとる生徒もいるなど、リズム感のある授業となりました。

【第2回:テーマ設定と問いづくり】

池田先生の公民科の授業内で、お金の8つの力の班分けやキーワード設定、情報収集をおこないました。

各クラスの生徒は3~4人1班のチームになり新聞記事検索や書籍、インターネットなどの資料を参照しながら、次回の専門家へのオンライン質問会に向けて「問いづくり」に取り組みました。
池田先生からの「ネットで調べて分かるような質問はしないように。閉じた問いではなく開いた問いを考えるように」という声かけのもと、生徒たちは意欲的に取り組む姿や講師との対話を楽しみにしている様子が見られました。

【第3回:専門家へのオンライン質問会】

第2回の授業で生徒が準備した「問い」を専門家に尋ねる時間として対話形式のオンライン質問会をおこないました。当機構から小畠宣英北村武史苗加晃平山本将也德永智穂長尾由芳河本泰彰奥居剛史が専門家講師として登壇しました。

講師は、使う・稼ぐ・納める・貯める・備える・贈る・借りる・増やす、の8つのブレイクアウトルームに分かれ、生徒の質問に答えました。質問は、国民年金やNISAなど国の制度に関するものから、株式、生命保険、クラウドファンディング、闇バイト、仮想通貨、また最近のニュースから具体的な企業名が出るなど1班10分の持ち時間では足りないほど多岐にわたりました。

今回のプログラムでは生徒に自分で考えさせる事が趣旨のひとつでもあった為、各ルームの講師は容易に正解を教えず生徒がさらに問いを深掘りしたくなるようなヒントを伝える場面も多くありました。

生徒から出た問い(一部抜粋)

  • スーパーの激安商品を売ってどのように儲けているのか?
  • 寄付型クラウドファンディングはどのような工夫をすれば支援者を集められるか?
  • 銀行に預けた時の利息より買い物した時に貯まるポイントの方がお得なのは不公平じゃないのか?
  • なぜ若者の中に“楽に稼げる仕事”を求める人が増えているのか?

教員アンバサダー池田先生より

池田 拓也

リアルなご講演からオンラインを活用した個別対応まで、大変充実したサポートに感謝です。この分野の学びを中1で実施するのは初めての経験で「難しいかな」という心配もありましたが、講師の方々のサポートで、生徒たちのモチベーションが高まりました。今後は、グループでの動画作成にシフトしていきますが、「何を伝えたいのか」をぶらさずに、取り組ませたいと思います。ありがとうございました。

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