2024年2月、東京都の「金融経済教育に関する講師派遣事業」により、一般社団法人日本金融教育支援機構(以下「当機構」)の講師が派遣され、三輪田学園中学校・高等学校で金融教育の補完授業を実施しました。
講師は、秋葉裕幸、大竹明彦、高野具子、仲岡由麗江、平井梨沙の5名です。
もうすぐ成年年齢に達する高校2年生の5クラスをそれぞれ担当しました。
2時間の授業は、休憩をはさんで前半が家庭科、後半が公共という構成です。授業は当機構の独自コンテンツで進められました。
授業の内容と当日の様子、受講した生徒さんの感想を紹介します。
講座内容
前半は「新社会人シミュレーションゲーム」です。将来の自分を想像しながら家計収支をシミュレーションします。
後半では「人生を豊かに かしこい投資のヒケツ」というタイトルで、株式や投資について理解を深めます。新成人が知っておくべき「金融トラブルへの対処法」も伝えました。
前半 新社会人シミュレーションゲーム
前半の課題は、自分が新社会人として給料をもらったと仮定した場合の家計簿の作成です。
ワークショップ形式で実際に手を動かし、お金の問題を自分ごととしてとらえることが目標です。まず、もらった給料は全額使えるのか考えるところから始まります。
給料から税金と社会保険料を差し引いた「手取り収入」の範囲で生活できるようシミュレーションしていきます。
平均的な初任給と自分の希望職種の初任給のどちらを使ってもよいことにしましたが、多くの生徒さんが、自分の就きたい職業の給料を熱心に調べていました。
収入金額をにらみながら支出を考えていきます。支出項目や金額には各自のライフスタイルが体現されるため、ワーク中は教室内の各所で盛り上がりが見られました。
ワークショップを通じて生徒さんたちは、収入の範囲で生活するためにはお金をどのように使えばよいのか、イメージをつかんだようでした。
後半 人生を豊かに かしこい投資のヒケツ
後半は公共の授業です。株式や投資について理解を深め、金融トラブルを避ける方法も併せて学びます。
10万円を銀行に預けると、1年間でお金はどれだけ増えるでしょう。
答えは約1円です。あまりの少なさに驚きの声が上がりました。
銀行預金でお金が増えたのは昔の話。低金利が定着した現在、労働以外でお金を増やす方法は基本的に投資だけです。
株式は投資対象として身近なものですが、難しい、ギャンブルと同じなどといったネガティブなイメージでとらえる人が多いのが現状です。
そこで、株式が出資の対価であることを解説し、株式の意義を確認していきます。
株式への恐怖心が取れたところで、株価の変動が持つ意味を理解していきます。
下図はドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの株価です。企業の成長とともに株価が上昇していることがわかります。
株価が上がる企業を見つけるのは簡単でないように思えますが、成長性のある企業を見つけると考えれば、日常生活のなかにもヒントはあります。
成長企業を見つけて投資するときの視点は、そのまま自己投資にも当てはまります。
当機構の行う資産形成に関する授業では「将来社会人として充実した暮らしを送るために今できることは自己投資である」と伝えています。
最後に、新成人となる日への備えとして「お金のトラブル」について学びました。講師のトラブル体験に共感したサポートの先生がご自身の体験をお話しくださったことで、より印象に残る学びの時間となりました。
生徒さんたちの感想
授業後の感想では、うれしいお声を多数いただいております。
前半の授業について
- 一人暮らしを始めるときには結構お金がかかるな、と思いました
- 生活費を書き出したことによって、生活することの難しさがわかりました
- 参加型の講座で、楽しく学べました
- 将来どのように生活するか考えることができました
後半の授業について
- 投資や株式を身近に感じられるようになりました
- 投資をするうえでの注意点も学ぶことができました
- 講師の方や先生が経験した金融トラブルの話が印象に残りました
- 金融トラブルにあわないようにするためには、SNSなどの情報が正しいのか細心の注意を払って確認する必要があることが改めてわかりました
ご案内
一般社団法人日本金融教育支援機構では、東京都の講師派遣事業以外でも、ご要望に応じた金融教育のカリキュラム作成と講義を実施しています。
学校ごと、学級ごとのニーズをお聞きするところからお引き受けしておりますので、金融教育の授業を企画されている学校関係者の方は、ぜひお気軽に当機構までお問い合わせください。