2024年3月、東京都の「金融経済教育に関する講師派遣事業」により、一般社団法人日本金融教育支援機構(以下「当機構」)の講師が江戸川女子中学校・高等学校で高校生の4学級を対象に金融教育の出張授業を行いました。
担当は、当機構認定講師、秋葉裕幸、大竹明彦、片原隼、佐藤彰です。
休憩をはさんで90分の授業は、当機構の独自コンテンツをもとに進められました。
授業の内容と当日の様子、受講した生徒さんの感想を紹介します。
講座内容
前半はワークを中心に、家計の管理について学びます。タイトルは「新社会人シミュレーションゲーム」。将来自分は何になるか、どのようなお金の使い方をするか想像しながら家計収支をシミュレーションしていきます。
後半では「人生を豊かに かしこい投資のヒケツ」と題して、投資や株式について理解を深めます。金融トラブルへの対処法についても学びました。
【 前半 】 新社会人シミュレーションゲーム
自分が新社会人として給料をもらったと仮定して家計簿を作成します。
実際に自分で計算し、社会人になってからの生活を金銭面で実感するよう働きかけます。相談や意見交換ができるよう、グループを作ってもらいました。
給料から税金と社会保険料を差し引いた「手取り収入」の範囲で生活できるよう支出を考えていきます。
そのためにまず、自分の就きたい職業の給料を調べてもらいました。特にやりたい職業がない場合は平均的な給与をシミュレーションに使います。
給料の額が決まったら、次は、給料はもらった分をすべて使えるわけではないことを理解してもらいます。
続いて生活にかかる金額を埋めていきます。1ヵ月の水道光熱費や通信費、被服代、日用品代などの目安をまとめた配布資料を、必要に応じて利用します。
各項目に使う金額には各自のライフスタイルが反映されます。すべて好きなだけ使ったら赤字になるかもしれませんが、ほとんどの生徒さんが手取り収入の範囲に収まるよう支出を調整していました。
その過程では、生活にさまざまな形でお金がかかっていることを実感したようです。
ワークショップを通じて生徒さんたちは、収入の範囲で生活するためにはお金をどのように使えばよいのか、イメージをつかんだようでした。
【 後半 】 人生を豊かに かしこい投資のヒケツ
後半ではまず株式や投資について理解を深めます。
株式が出資の対価であることを解説し、株式は決してギャンブルではないことを理解しました。
また株式はダースチョコレートと同じで、会社の権利を分割しながら、全員がオーナーとなっていることを
伝えました。
続いて、株価の上がり下がりにはちゃんと理由があることを、よく知られている会社を例にして学んでいきます。
業績を伸ばしている企業の株価は、長期的に見れば上昇しています。
例えば、ドン・キホーテのパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス。
株価が上昇傾向なのには理由があります。それが「企業の成長」です。
働く人のアイディアをもとに企業は成長します。
株式投資のリターンは「未来からのお返し」です。
その考え方は、自己投資にも当てはまります。
最後は「お金のトラブル」に対する注意喚起です。
講師が自分のスマートフォンに来た詐欺のショートメールを事例として紹介すると、同じようなメールを見たことのある生徒さんが声を上げ、トラブルは身近にあるとの認識を改めて共有できました。
トラブルに遭ったら、または遭いそうになったらまわりの人に相談するよう伝えて後半の授業を終えました。
生徒の声
授業の進め方に関して
- グループで話し合う時間が楽しく、理解も深まった
- 身近な例で話してくれてわかりやすかった
- 自分の希望を金額に反映させてワークに取り組めたのが良かった
内容に関して
- 家計簿を考えることで、将来への期待がふくらんだ
- 食費をはじめ、生活にはずいぶんお金がかかるとわかった
- 投資や株式の説明がわかりやすく、ネガティブなイメージを払拭できた
- 大事なことは小さく書いてあるということばが印象に残った
- 税金など給与から差し引かれるお金について詳しく知れた
ご案内
一般社団法人日本金融教育支援機構では、東京都の講師派遣事業以外でも、ご要望に応じた金融教育のカリキュラム作成と講義を実施しています。
学校ごと、学級ごとのニーズをお聞きするところからお引き受けしておりますので、金融教育の授業を企画されている学校関係者の方は、ぜひお気軽に当機構までお問い合わせください。