
2025 年7月7日、東京都の講師派遣授業により、筑波大学附属駒場高等学校の3年生4クラスを対象とした金融教育授業を50分×3コマで実施しました。
ビジネスコンテストにも応募経験のある生徒さんもいらっしゃるとのことで、講座はより実践的なものになるよう、独自コンテンツを使用。メイン講師を大竹明彦、渡邉錬、久永航輔、仲木威雄が。サブ講師を秋葉裕幸、伊藤理沙、高田彩香、清水秋美が務めました。
講座内容と授業の様子
講座では先生から「アントレプレナーシップ教育を重視してほしい」とのご要望をいただきました。そこで、ビジネスの基礎をファイナンスの観点から体系的に学びつつ、生徒の知的好奇心・課題解決力・行動力を引き出すことを目的に、起業家(経営者)マインドで考えられるようなワーク中心の「資金調達講座」を実施しました。

前半
前半35分の座学では、「ビジネスとは」「資金調達とは」「企業財務とは」といった基礎知識をレクチャーしました。情報量の多い文字資料に偏らないよう、実在企業の起業例や資金調達事例を取り上げることで臨場感を加えました。さらに各テーマに設けたクイズでは、生徒の予想と実際の答えが大きく異なる場面があり、その瞬間に講義への関心が一層高まる様子が見られました。











中盤
座学でのインプットを経て、いよいよ実践タイムへ。各クラスは4~6人のチームに分かれ、「社会課題の模索・ビジネスアイデアの考案(または選択)→事業プラン・資金調達立案→プレゼン準備・練習」とステップを踏みました。
先生や講師陣は融資担当者や投資家(VC・エンジェル)に扮し、仮想紙幣を用意。チーム代表が次々にピッチを行い、資金調達の場が繰り広げられました。資金獲得は容易ではなく、講師からの鋭い質問で再考・再ピッチを迫られる場面もありましたが、そこから生徒たちは議論を深め、ChatGPTなどを駆使したリサーチで設計を練り直す姿が印象的でした。
中には自ら資金計画を組み立て、説得力ある発表につなげたチームもあり、学ぶ姿勢と行動力が光る質の高いアウトプットが数多く見られました。全額調達に至らずとも一部資金を獲得できた際には「やったー!」と歓声が上がり、体験型ワークならではの熱気に包まれました。












後半
3コマ目は4クラス全員が一堂に会し、合同講義を実施しました。座学資料にも登場した、高校OBであり、資金調達を経て現在急成長を遂げている株式会社Yondemy代表取締役・笹沼颯太氏を、ハイブリッド形式でゲスト登壇者としてお迎えしました。
笹沼氏からは創業ストーリーや資金調達の局面での体験談など、リアルなエピソードを交えたお話があり、生徒たちは熱心に耳を傾けていました。質疑応答の時間には積極的な質問が相次ぎ、やり取りも活発に展開。中には笹沼氏の姿を将来の自分と重ね合わせ、夢や希望を改めて考えるきっかけを得た生徒もいたのではないかと思われます。





講座を終えて
資金調達は、事業の拡大や新たなプロジェクトの推進に不可欠な要素ですが、それ自体はあくまで手段に過ぎません。大切なのは「何のために」「どの方法で」「いつ実行するのか」を考え抜き、常に志を持って主体的に取り組む姿勢です。今回の講義を通じて、生徒の皆さんがそのことを体感し、今後の学びや行動につなげてもらえたなら、講師一同これ以上の喜びはありません。


当機構では、東京都の講師派遣事業に限らず、ご要望に応じた金融教育カリキュラムの作成や講義も行っております。学校ごと・学級ごとのニーズを丁寧にお伺いしたうえで対応いたしますので、金融教育の授業に関心をお持ちの方や企画をご検討中の学校関係者の皆さまは、ぜひお気軽にお問い合わせください。